【実話】神ルートを他社に売られたら、現場がブチギレて“埼玉送り”が誕生した話
昔、茨城〜静岡の定期コースをやってたことがある。
バラ積み1200個、週2.5往復、手取り60万。
平均稼働18時間、寝床はトラック。
完全に地獄。でも、悪くなかった。
理由はただ一つ。
静岡泊で1泊15,000円が出る。
泊まるだけで稼げる。それだけで生きるモチベが保てた。
帰りは横浜止まり。
明け方まで手伝い → 朝の渋滞 → 茨城へ。
普通なら折れそうな流れだけど、
静岡の現場が神だった。
各社ドライバーが入り乱れるアットホーム現場で、
積込前は1時間交代の仮眠ローテーション。
唯一の癒し時間。
ラーメンくれる「小池さん」もいた。
胃袋の守護神。
ある日、自分の働きぶりを見ていた発送元の管理者さんが声をかけてくれた。
「横浜戻り大変でしょ?
来週から“茨城戻り”に変えてあげるよ」
神、いた。
稼働が5時間減ったぶん、
自分は北斗の拳(パチスロ)に全振り。
(ケンシロウには毎回裏切られたけど)
静岡泊は続くし、小池さんのラーメンもある。
定食屋は冷たいそば頼んでも温かいうどんが出てくるけど、
他に停められないから黙って食べてた。
「今日は13時間で終わった!」
って本気で喜んでた。
もう完全に感覚バグってた。
そんなある日、社長から電話。
「悪い、そのルートな、元請が他社と“コース2本”と交換したってよ。
来週からまた横浜戻りね〜」
……は???
自分のために変えてくれたルート、
まさかの“商品化”されて他社に売られてた。
で、ここからがスカッとポイント。
この話を聞いた発送元の管理者さん、
ブチギレ。
「人の努力と信頼で回ってる現場を、
勝手にコースごと売るってどういうことだよ」と。
怒りのままに交換されたルートを再編成。
結果、交換された他社のドライバーさんが現場に来て、
最初に聞かされた一言。
「ごめん、来週から“埼玉行き”ね。」
方向も中身も、全然違う。
そのドライバーさん、無言で去っていった。
自分は心の中で静かに土下座。
ほんと、ごめん。
結局、得をしたのは元請だけ。
信頼を返したのは発送元の管理者さん。
埼玉行きになったのは、何も知らない誰か。
自分は静岡に残ってラーメンをすすっていた。